CHINESE TEA CULTURE

紫砂概説

宜興紫砂と、茶壺を育てる「養壺」の世界

宜興紫砂の西施壺
宜興紫砂の西施壺 宜興の定番、西施壺

紫砂壺は中国語読みで「ずしゃふう」日本語読みで「しさこ」と呼ばれる、 中国を代表する茶器です。しさこと言っても日本で知っている人はあまりいない =ほぼ誰にも通じないので、天香では「ずしゃふう」と呼んでいます。

紫砂は江蘇省宜興市丁蜀鎮一帯で産出する泥土で、釉薬をかけずに焼成されます。

紫砂壺の歴史は古く明代正徳年間(西暦1500年頃)無名の僧により作られたとされます。 これは急須を使って茶を淹れる壺泡法の起源と同時期で、 紫砂壺の起源は急須の起源と考えられています。

その後、供春、時大彬などの名人により、芸術品としての評価も高まり、 素朴な質感は文人たちに愛され、現在まで中国茶器の中でも特別な存在となっています。

実用面でも保温性に優れ、表面に無数の微細な孔があり茶の成分を蓄えることで 茶の香味を高め、また使うにつれ光沢を増します。

一時、乱掘を避けるため採掘が停止されていましたが、 関係機関の管理のもと再び黄龍山での採掘が開始されました。 紫砂として売られている茶壺にも宜興産でないものが数多くありますが、 天香は原鉱と呼ばれる純粋の紫砂にこだわって販売しています。

使用前の注意

紫砂茶器を使い始める前に、土臭さを落とすための準備

紫砂茶器はお使いになる前に土臭さを落とすための作業が必要になります。 ここでは一般的に行われる2つの方法をご紹介します。

01

鍋で煮る

茶壺が浸かる深さのある鍋の底に布巾を敷き、 茶壺の蓋を開けて別々に鍋に入れ、 多めの茶葉と水を加え1時間ほど弱火で煮ます。 火を止め数時間おけば完成。

注意:
布巾を敷くのは湯が沸いた際に振動で割れるのを防ぐためです。 複数の茶壺を一緒に煮る際や取った蓋とぶつかりそうな場合は、 布巾の位置・量を調整してください。
火加減について:
弱火で煮てください。 火が強すぎると割れてしまうことがあります。
茶葉について:
紫砂は味や香りを吸着します。 茶葉は今後使う種類の茶葉を入れ、 鍋は炒め物の鍋など油や汚れがついているものは避けてください。
02

つけ置きする

煮るのが難しい場合、鍋などに茶壺本体・蓋・茶葉を入れ お湯を注いで1日浸けます。 時間は茶壺により異なり、臭いが抜けない場合は再度行います。

浸けるのも難しい場合、 茶壺に茶葉を入れお湯を注いで1日置き、 臭いが残っていればもう1日という形でどうぞ。

温度変化にご注意ください

茶壺が割れる主な原因は急激な温度変化により 外側と内側の膨張度合いに差ができるためです。 寒い日は一度ぬるめの湯を内側に入れてから外側にお湯をかけ、 湯を捨ててから外側・内側の順で熱湯を注ぎます。 初めから熱い湯をかける場合は、外側にかけてから内側に入れてください。

お茶を淹れる際の注意

紫砂茶壺を長く使うために知っておきたい二つのこと

温度差に注意

紫砂壺には「熱いお湯でも割れにくい」という特徴がありますが、 あくまで歴史上の話で現代の耐熱ガラスのような耐性はありません。

割れる主な原因は急激な温度変化により 内側と外側の膨張度合いが違ってしまうこと。

安全策は内側にぬるい湯を注いでから外側に熱いお湯をかけ、 全体を温めてから茶葉を入れて外側に熱い湯をかけ 内側に熱い湯を注ぐという手順です。

やはり面倒なので、中国の茶芸は単に外側にかけてから 内側に注ぐという手順で構成されています。

特に寒い日は注意:
あまりないと思いますが、 熱した茶壺を急に冷水につけるのは厳禁です。

香味が移らないように注意

茶の香りを吸収し味わいを蓄えるのが紫砂壺の特徴ですが、 異味雑味も吸収してしまいます。

洗う際は洗剤の使用を避け、 できれば茶葉の種類ごとに茶壺を使い分けます。

そこまでは難しいという場合でも、 清香の烏龍茶を飲む茶壺でプーアル茶など 香りの強いものを淹れるのは避けましょう。

紫砂壺は、使い込むほどに表情を変えていく茶器。
温度と香味に気を配りながら、ゆっくりと育てていきます。

養壺

茶壺を手入れし、時間をかけて育てる楽しみ

茶壺の手入れによって表面に美しい光沢が生まれ、 また茶の香味を蓄え美味しくお茶を淹れられるようになります。

時間のかかる話ですが、 愛着を持って茶壺を育てるのも楽しいものです。

基本的な手入れ

  • 飲み終えたら茶葉を出し、 お湯を注いできれいに茶殻を出しきります。
  • 洗剤を使わずよくすすいでください。
  • 風通しの良いところに蓋を閉めず置き、 湿気が残らないようにします。
  • 煙やホコリのない所に保管しましょう。

より意図的な養壺

  • 残ったお茶は茶壺にかける
  • 残った茶殻で茶壺を磨く
  • 養壺筆で茶を塗る
  • その後、乾いた茶巾でよく磨く

これを繰り返せばより早く光沢が出てきます。

茶壺を扱う際の最後の注意

先に割れてしまう主な原因は急激な温度変化にあると書きましたが、 もちろん落とせば割れてしまいます。 中国には割れた茶壺を継ぐ職人も少数ながらいますが、 日本で修理をするのは困難です。 手入れの際にはよく注意してください。